自分だけのドーナツを見つけよう FIND YOUR OWN DONUT  トヨタ社長のスピーチから

ビジネス英語

プライベートレッスンのクライアントさんからリクエストがあり
トヨタ自動車の社長、豐田章男さんのスピーチを使ったレッスンを行いました

先日、米国バブソン大学の卒業式で行われたものです

難しい言葉を使わずに簡潔な表現で随所にジョークを交えながら
これから社会人になる若者へ伝えたメッセージが素晴らしかったです。

Figure out what makes you happy in life… and dont let go

自分の人生に喜びをもたらすものは
何なのか探して、見つけたらそれを手放さないこと

彼の場合は、アメリカでドーナツに出会い、大好きになったそうです。
自動車の次に好きなものが、ドーナツ。

卒業生たちにも自分だけのドーナツを見つけなさい
と言います

Find your own donut

日本語訛りの英語ではありますが、アメリカらしさと日本人のアイデンティティを
しっかりと表現した非常にレベルの高いスピーチでした

私のクライアントさんも会社を経営されている方なので響くものがあったようです

スピーチの流れと実際のレッスンで取り上げた重要表現の一部をご紹介しますね。
カッコ内に動画の秒数を入れておきましたので、動画を見ながら確認してみてください。

 

動画内で使われている重要表現

タイトルのBobson’s Centennial Commencementは100回目の卒業式という意味。アメリカの大学の卒業式は Commencement と言います。Commenceとは始めるという意味の動詞でBeginと同じ意味です。そう、これから新たな人生を始める門出を表現するのにピッタリの言葉ですね

謝辞、お祝いの言葉に続いて、 Let me get right to the point  (1:05) と言っています。これは、「大切なことだけ言います」という字幕になっている通り、「Point=要点」だけ述べますという意味の決まり文句です。会議の冒頭などで他の出席者の注意を引くためによく使用されます。 

就職先が決まらずに不安を抱えている卒業生たちに対して… Let me take that worry off the table for you right now (1:20)その心配事を解消してあげましょうと言います。 take 〜 off the table  で議論や検討の対象から外れるという意味です。ここでは、心配事をもう考えなくてもよくなる意味です。逆にput 〜on the tableならば、議論の対象、何か取り組むべき対象となります。 on/off the table のニュアンスを感じてください。

そして、みんなにトヨタでの仕事をオファーしましょうと言って、拍手喝采を浴びたあと、

 I haven’t actually cleared that with my HR department yet …(1:45) 実はまだ人事のOKもらってないんだけととといって笑いを取っています。 clear with  で承認を得るという意味。ビジネスの現場では日常的に使用される表現です。 

さて、問題は解決したので、もっと重要な話をしましょう。それは今日というこの門出をどうお祝いするのかということです。と続けます。そして…

 I mean, how wild is tonight’s party going to get?  (2:09)つまり今日のパーティでどのくらいハジけるかということです。 wild は野生の、荒っぽいという意味ですが、乱れる、暴れる=ハジけるという意味になります。

 And more importantly, can I come? (2:18) もっと大切なことは、わたしも参加していい?とお茶目なジョーク。ここで注目は、comeの使い方です。「行っていい?」と英語で言いたい時、どうしてもCan I go? と「Go」を使ってしまいがちですが、 話している相手がいる場所へ向かう場合はcome、相手がいない場所へ向かう、今いる場所から離れるときにはgoを使います。 みんなが行くパーティへ私も行きたいので、Can I come?となります。パーティへいく許可を親から得たい場合はCan I go?です。 

そして、バブソン時代はパーティへの行かず勉強ばかりでつまらない人間だったと、過去の自分を振り返り、
卒業生たちへ「つまらない人間になるな」とアドバイスします。

Really figure out what makes you happy in life…what brings you joy.(4:00) 幸せな人生には何が必要か、喜びをもたらすのは何なのか、自分自身で見つけ出すことが大切です。動画内の字幕では、英語と順番が逆になっていますが、日本語で情報を理解するときの順番と、英語のそれとは逆なんですよね。学校では返り読みを習いますが、私のレッスンでは、頭から英文を理解していく練習をしてもらいますよ。  figure out 見つけ出す。どうにかする。自分の頭で考えて、答えを捻り出すようなニュアンスです。直訳すると「見つけなさい、何が自分を幸せにするのか、人生において、何が喜びをもたらすのかということを」という流れになります。

バブソン時代に豊田さんが見つけ出した喜びは、ドーナツにありました。 I found joy in donuts. (4:12) そして、I want to encourage all of you to find your own donut. (4:24) 皆さんも、自分だけのドーナツを見つけてくださいと続けます。encourage は奨励するという意味です。 Find what makes you happy…and don’t let go.  字幕では、「夢中になれるものを見つけたら、それを手離さないでください」となっています。make you happy あなたを幸せにするもの=夢中になれるものという和訳は素晴らしいですね。let go =手放す、諦める。先ほどのcomeとgoの話を思い出してください。自分から離れていく動きはgoですね。let it goでそれを自分の元から他のところに向かわせる、握りしめていないで手離すという意味です。

少し前に流行ったディズニー映画の「アナ雪」の主題歌Let it goは日本語では「ありのままで」と歌っていましたが、厳密には、今まで自分を縛っていた観念とか、古い自分、良い子であることへの執着を手放すわという決意表明なんですね。それで、Let it goなんです。話が逸れましたが、ここではdon’t let it go. それを手放してはなりません。好きなことを諦めないでくださいと言っています。 

なぜかというと、みんな社会人になって成功して、お金をたくさん稼いで、そしてある日、 Wake up one day and find yourself in golden handcuffs…with a mortgage…and three kids  (5:33) 目が覚めたら、「金の手錠」をはめられていることに気づきます。住宅ローンと子供が三人。handcuffsは手錠のこと。cuffs(カフス)は袖口のこと。カフスボタンのカフです。 golden handcuffs はもともと金融業界で、有能な人材の流出を防ぐために高額なサラリーを支払ったことに由来しているそうです。条件が良すぎて身動きな取れない状態です。若いうちに人生がややこしくなる前に、好きなことを見つけてそれを追求しなさいということです。

そして、自身の家業、トヨタ自動車の歴史、80年の歴史を持つ同社がはた織り機から始まったこと、社長就任後の苦労、東日本大震災、リコール、米議会公聴会での証言など。いつも起業家精神を忘れずにいることの重要性などについて語ります。

CEOからこれからのCEOたちへ、次のようにアドバイスします。  Don’t screw it up. Don’t take it for granted. Do the right thing. Because if you do the right thing…the money will follow. (10:18) しくじらないでください。当たり前だと思わないでください。正しいことをしてください。正しいことをすればお金はついてきます。screw up しくじる、台無しにする。take it for granted 当たり前だと思う、ありがたみを忘れるというニュアンスの表現です。Do the right thing スパイク・リーの名作のタイトルにもなっていますが、正しいことをしなさい。アメリカでは本当によく耳にする表現です。 

個人的には次のメッセージがとても重要だと思いました。

 Try new things…even if you’re old (10:32) 新しいことにチャレンジしてください。歳をとってからも。52歳でCEOになった後、マスタードライバーの訓練を受けた豊田社長は、そのおかげでエンジニアたちとの意思疎通が良くなったと言っています。いくつになっても学ぶことを忘れない。先生を見つけて、新しいことを学びなさい。 Be a person that inspires others (11:50) 誰かに刺激を与える人になってください。inspire 影響する、閃きを与える。グローバル市民になってください。クールではなく温かい人になってください。そして、 Decide what you stand for .ブレない自分の軸を持ってください。と続きます。 stand forとは信条を持つ、何かを代表する、支持する、という意味。良く使うのが、この略語の意味を説明するとき。ここでは自分の立ち位置をしっかり決めて、揺らがないという意味です。

トヨタ自動車では、 Integrity, humility and respect for others  誠実さ、謙虚さ、そして尊敬に価値を置き、それらをToyota wayと呼んでいるそうです。この価値観は北極星のように人を guiding light 導く光です。ここでもまた、 Find your own guiding light  自分だけの北極星を見つけてください。そして Let it help you make the world a better place.  北極星の助けを借りて、世界をより良い場所にするのです。

最後に、日本の新元号、令和の説明を行い、これから始まる卒業生たちの新しい時代がBeautyful harmonyで満たされることを願ってスピーチを締めくくっています。 

英語でここまでのスピーチができる人は、正直あまり見たことがないです。これからどんどん英語を駆使して海外で活躍する経営者の方も増えてくるのだと思いました。 


全スクリプトはバブソン大学のサイトにあります。

動画はこちら

お知らせ:SLOW ENGLISHでは、現在プライベートレッスンのクライアントさんを若干名募集中です。ご興味のある方は、こちらから詳細をご確認ください。

公式ラインアカウントの英会話レッスンはじめました! 
月水金の週3回、センテンスやフレーズのレベルからカンタンな英語の音に触れて、 英語学習の習慣づくりができます。ご登録はこちらから。 

友だち追加

レッスンへのご質問やリクエストも承っております。お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちらから

 

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。