【NYタイムズ】読者投稿欄の2021年ベストストーリー(解説付けました)

今週のレッスン

ニューヨーク・タイムズ(NYT)の読者投稿欄「メトロポリタン・ダイアリー」のベスト記事が選ばれたのでご紹介したいと思います。

メトロポリタンダイアリーは、ニューヨークに住む人々や旅行者が現地での出来事を日記形式で綴った短いコラムです。じんわり感動するものや、思わずクスッと笑ってしまうものなど、ニューヨークに行ったことのある人なら「あるある〜」と嬉しくなってしまうお話が多いので、たくさんの方に読んでいただきたいなあとずっと思っていました。今回の人気投票で他の投稿を大きく引き離し、圧倒的な票を集めたのがCool Breezeというタイトルのお話です。最終選考に残った他のお話も一緒に掲載されていますのでぜひ読んでみてください。

この書き手はメトロポリタン美術館の前にいるホットドック屋台の人から、日本ではまず考えられないあるお願いをされます。とても短い文なので、すぐに読めると思います。英語表現も分かりやすいと思います。何か分からない部分があれば、遠慮なくお問い合くださいね。

<解説>

ポイントその1
NYメトロポリタン美術館は5番街の82丁目にあります。行ったことのある人はご存知だと思いますが、美術館の前にはいつもホットドックのスタンドが出ています。

ポイントその2
第2パラグラフにある表現を見てみましょう。
”It was one of those days when the weather could not make up its mind between bright and sunny or cool and cloudy. I grabbed a sweater from the closet, wrapped it around my waist and set off.”

one of those days 
→たくさんある日のうちの1日という意味ですが、「ついてない日、物事がうまくいかない日」という否定的なニュアンスがあります。(そんな日もあるさ的な…)

ポイントその3
make up ones mind 決心する
天気が定まらない、晴れて暑くなるんだか、曇りで寒くなるのか、分からない日、不安なお天気の日
Weatherを擬人化することで、まるでお天気が気持ちを決めかねているような印象です。
秋の初めころによくある、天気の定まらない困った日でした。という意味になります。

ポイントその4
wander through galleries  
いくつかの展示室をさまよう、うろつく
美術館の中にある個々の展示室はgalleryといいます。街にある画廊もgalleryです。
museumは建物全体のこと、museumというと美術館という訳語が浮かびますが、英語でMuseumというときは人を集めて展覧会をやるだけの単なる「ハコ」のことは指しません。美術館に限らず博物館や記念館など、価値のある学術・歴史的資料を分類、研究、陳列して一般に公開する場所のことです。通常は研究者がいて論文を書くための調査研究をしている場所です。

ポイントその5
最後の”He is a good man” 「彼はとても良い人なの」という意味ですが、とても愛情がこもっていて、「彼は優しいのよね」というニュアンスもあります。彼は優しいのよね、と英語で言いたい時にこういう表現はちょっと思いつかないのではないでしょうか。覚えておくと良い表現です。

ご感想を頂いて気付いたのですが、”good man” は「善人」という意味もあります。goodは善きこと、善行のことでもあります。
深読みすると、彼は「good man」だったから、奥さんのもとに上着を届けてくれる信用できる人を、ひと目で見分けたのでしょう。
人を見たら泥棒と思えというくらい犯罪の多いNYという街で、見ず知らずの人に奥さんへの上着を託すことのできる心と、それをキッチリ届けたこの書き手との出会いは小さな奇跡のようでもあります。じつはキリスト教的な背景もあるのかなと思いました。
O.ヘンリーの有名な小説、「賢者の贈り物」の夫婦の絆を思い出しました。あの話もNYが舞台でした。
こんなふうに、ほんの短い読者投稿欄のエッセイでもじっくり読むといろんなことが見えてきます。

英語は文化と必ずセットです。言語だけ個別で存在している便利ツールではありませんし、単なる試験科目でもありません。人間同士がお互いを分かり合うために編み出した手段です。言語が文化をつくり、文化が言語を広げます。ことばの持つ文化背景を理解することで、その言語を使っている人たちが育んできた豊かで深い世界に触れることができます。そのためには文法など英語の仕組みを理解することも大切ですが、こうした文章を原文でたくさん読むこと、読んだら立ち止まって考えることが大切です。(最近では外国語を専攻している大学生でも、原書を読もうとしないのだそうですが…)そして、現地へ行って自分だけの経験をしてください。

O.ヘンリーの小説「賢者の贈り物」はクリスマス・ストーリーです。
とっても有名なのでみなさん一度は読んだことがあると思います。こちらから無料で読めます。
英語版 https://www.gutenberg.org/files/7256/7256-h/7256-h.htm
日本語版 https://www.hyuki.com/trans/magi.html

 

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