【おすすめ書籍】英語を学ぶなら必ず読んでおきたい書籍5選(初級編)

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おすすめ書籍

英語を学んでいる、これからやり直したい方にオススメの書籍を5冊をご紹介します。こちらは特に英語が初級レベルの方やいちからやり直したいと思っている方が対象です。手に取りやすい新書版を中心に選びました。 

本屋さんに行くと「英語学習」コーナーには似たようなタイトルの本が溢れています。「スグにカンタンに英語ができるようになる」とうたった本や英語教材も山ほどあります。これはダイエットも同じで、人間のコンプレックスを刺激して儲けようとするやり方で、「ラクして痩せる」という商品やサービスがいつの時代も人気です。

英語もダイエットもそれなりに成果をあげている人たちをみると、みなさん地道に「コツコツ」努力を積み重ねています。「ラクして」いる人はほとんど見かけません。 少しずつ継続的に取り組むことが唯一、最善の方法です。 とはいえ、長い道のりを行くときには息切れしてしまうことも、絶望してしまうこともあるかもしれません。

そんなときにも、ここで紹介している本が役立ちます。ただ、目新しいことはあまり書かれていませんし、人によっては「そんなこともう知っている」と思かもしれません。でも、「知っている」ことでも、それが「できている」とは限りません。(摂取カロリーを消費カロリーよりも少なくすれば痩せるということは誰でも知っていますが、「痩せたい」と思ってもできないのはそれが「できない」からですよね。)

一度読んで「へえなるほどねぇ、ハイおしまい」ではなく、傍に置いてときどき読み返したり、気になった項目だけ読むようにしてみてください。前に読んだときには気づかなかったメッセージを見つけるかもしれません。そして、本の中に書かれていることを、ひとつでも行動に移して一歩でも前へ進んでみてください。少しずつですが、見えてくる景色が違ってくるはずです。

1. 本物の英語力(講談社現代新書)鳥飼玖美子著

まずはド直球から。英語を習得したい人は数多くいるけれど、そもそも「本物の英語力」ってなんだろうという疑問にあらゆる面から答えた一冊です。英語を勉強する理由、発音、語彙、文法など具体的な例をあげて簡潔に答えてくれています。

2016年に書かれた本書では、冒頭で「英語格差(English Divide)」の話をしています。そして、英語ができる人とできない人の格差が今後ますます広がるだろうという予測をしています。
テクノロジーの進歩とともに「簡単なやりとり」はAIの自動翻訳で確実にやれるようになります。
だから英語なんて勉強しなくても良いんじゃない?と思ってしまいそうですが、格差とは、その自動翻訳が正しいかどうかを判断することができるだけの語学力を持った人と、それを判断することのできない人の間で広がります。(情報格差ってそういうことですよね)というわけで、依然として英語を習得する意義はなくならないと語っています。

近隣諸国がどんどん英語力を伸ばしていく中で、日本は遅れを取っているようにみえます。自動翻訳と自らの英語力、多文化への理解を深めてグローバルに立ち回ることのできる人の多い国と、そうでない日本では経済から科学まであらゆる面で大きな差がつくことは間違いないでしょう。

とはいえ英語は1日にしてならず。習得には地道な努力が必要です。完璧主義を捨てて、たくさん間違いながら少しずつ上達していくための秘訣が本書には溢れています。

著者について:鳥飼玖美子さんは、日本の英語教育の第一人者。もともと通訳でしたが、NHKの英語講座やラジオ百万人の英語などでもよく知られています。

2.話すための英語力(講談社現代新書)鳥飼玖美子著

こちらも同じく、鳥飼玖美子さんの著書です。日本人がとても苦手とする、英語を「話す」というスキルについて書かれた本です。実際に英語を「話す」とはどういうことなのか、その習得方法と英語の運用方法について、ご自身の通訳経験などをもとに実例をあげて解説しています。1番目にご紹介した『本物の英語力』と合わせて読んでもらいたい本です。

米国国務省のFSI(Foreign Service Institute)の分析では、日本語を母語とする人が英語をある程度習得するために必要な時間はおよそ「2200」時間となっています。まずは圧倒的に学習時間が足りないことを認識させられます。また、日本人が英語を話すときに大きな壁となる「心理的不安」や、あまり知られていない「言語社会のきまり」が解説されています。

鳥飼さんの著書では「先立つものは語彙」という表現が繰り返し使われています。最近は「単語はXX語覚えればOK」という謳い文句をよく見かけますが、やはり基本的な語彙力が重要であることに反論の余地はありません。

 

3. 日本人のための英語学習法(ちくま新書) 里中哲彦著

副題に「シンプルで効果的な70のコツ」とあるように、本当に「あたりまえのこと」が書かれてあります。特に「ネイティブ」ではなく「自前の英語」を目標にするよう提唱されています。これにはわたしも大賛成。グローバル化が進み、いまや世界中の人たちが英語を話しています。何が何でも「ネイティブ」のような英語である必要はないんですよね。「日本人の英語」で通じることを目指す。そして、話す内容を充実させることが重要と書かれています。

シンプルなコツが70項目あるのですが、毎日1ページずつ読んで「実行」すれば2ヶ月後には英語を学習することに自信がついてくるはずです。読むだけではありませんよ、「行動」が大切です。

特に面白いと思ったのは24. 難敵は「内気さ」(p97)に出てくる方程式です。ハンガリー人のポリグロット(多言語使用者)通訳の方が言っていたと紹介されています。
(消費された時間+意欲)÷ 羞恥心=成果
日本人は「羞恥心」が強くて、間違いを極度に恐れるためなかなか上達しないんですよね。

他にも「できる人がやっていること」として「音読」と「読み書き」のコツから日本人が大好きな「マナー」まで網羅されています。わたしも読みながら、「ここに書いてあることは、ほとんどやったな」と思いました。

著者について:里中哲彦さんは河合塾講師。英語や英語圏の文化に関する著書を多数執筆されています。

4. 英語とはなにか(インターナショナル新書)南條竹則著

世界語としての英語、英語とのつきあい方、早期教育と実用、第二外国語との関係、発音や日本人のコンプレックスについてなど、英語を学ぶ誰もが一度は抱いたことのある疑問点について答えています。とはいっても小難しさはなくサラリと読める軽さがあって、ちょっと勉強に疲れたときなどに(だけど英語から離れたくない、離れたという罪悪感を持ちたくないとき)ちょうどよく読めて、また頑張ろうという気持ちにさせてくれる1冊です。

著者について:南條竹則さんは作家で翻訳家。1993年『酒仙』で第五回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞

5. 英語独習法(岩波新書) 今井むつみ著

認知科学で知られている「学習の法則」を外国語学習に当てはめた合理的な学習法の提案。本書は少し上級向けかもしれません。「英語スキーマ」というのが出てくるのですが、いわゆる学校のお勉強が得意な人や論理的な説明を好む人にはガッチリハマって「分かりやすい!」となるかもしれませんが、わたしのような感覚派にはちょっとこれが理解が難しかったです。

とはいえ、「知っている」と「使える」の違いやリスニングの伸ばし方、語彙力の育て方、スピーキングの鍛え方など、具体的に使えるヒントがたくさん紹介されています。自力でどうにか英語をモノにしたいと考えているのであれば一読の価値ありです。認知科学を応用した学習法はこれからもたくさん出てくるでしょうし、さらにブラッシュアップされるのではないかと思います。「人間が学習するしくみ」について興味のある人には特におすすめ。教える側になりたい人にも勉強になります。

著者について:今井むつみさんは、應義塾大学環境情報学部教授で、認知科学、言語心理学、発達心理学の専門家です。
『ことばと思考』岩波新書 や『学びとは何か――〈探究人〉になるために』岩波新書など多数の著書があります。

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